「お帰り!」


すぐにお出迎えをすると、お母さんが「なに? いい匂いね」と、敏感に感じ取った。


「えへへ。今日はお母さんの誕生日でしょ。ちょっと頑張っちゃった」


そう言って両親をキッチンへ通す。


すでに盛り付けられている食材に2人とも目を丸くしている。


「いつの間にケーキまで作れるようになったんだ?」


お父さんの言葉にあたしは苦笑いを浮かべて「それは簡単に作れるスポンジを買ってきて作ったの」と、素直に答えた。


「なるほどな。それにしては綺麗な飾りつけだな」


「2人とも座って。今オムライスの卵を焼くから」


あたしは2人を席に座らせて、最後の仕上げに取り掛かった。


シチューを温めなおし、丸いフライパンに油を引く。


ボウルに卵を割りいれて、よく混ぜる。


このときに少しマヨネーズを加えた。


後はゆっくりと焼いていけば完成だ。


「できたよ」


「わぁ、おいしそうね」


ほどよくトロトロ卵のオムライスを前にして、お母さんは嬉しそうだ。