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俺にとって学校はクソだった。


文字通り便所と同じような場所。


いや、便所のほうがまだマシかもしれない。


ちゃんとした使用用途があるから。


「おい、早く出てこいよ!」


トイレの個室でなっちゃんのインツタを見ていると、外からドアを蹴られて怒鳴られた。


俺は一瞬顔を上げてドアを睨みつける。


もちろん、反応してやる気はない。


新しい写真が投稿されていないか確認していたときだった。


突然頭上が暗くなったと思って顔を上げると、青いバケツが見えた。


反射的に顔をさげた瞬間、冷たい水をぶっ掛けられていた。


同時に聞こえてくる数人の笑い声。


俺はしばらく下を向き、髪の毛を伝って流れ落ちてくる水を見ていた。


濁っていないし、嫌な臭いもしない。


どうやら本当にただの水みたいだ。


それを確認するとホッとして顔を上げた


スマホは咄嗟に両手で包み込むようにして守ったから、無事だ。


そもそも防水加工がしっかりしているから、大丈夫だと思う。


水なら乾かせば元に戻るし、たいしたことはない。