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両親が家に帰ってくるのは夜の9時頃だった。


定食屋の営業時間は朝11時から、夕方6時まで。


そこからは明日の仕込み時間に入る。


うちのお店はメニューが多いから、仕込みに時間がかかるのだ。


買い物を終えて家に戻るとちょうど5時が回ったところだった。


今から作れば十分間に合う。


あたしは部屋着に着替えて白いエプロンをつけた。


エプロンの前には『うまい屋』と藍色で書かれていて、これが両親が営んでいるお店の名前だった。


「さ、作るぞ!」


あたしは腕まくりをして気合をいれ、作業に取り掛かったのだった。