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それから放課後まで、ほとんど柳純くんの話題ばかりで盛り上がっていた。


芸能人に興味のない子でも柳純の話になると乗ってきてくれるから、話題に困ることがない。


そんな1日が終わって教室から出ようとしたときだった。


「あ、そういえば今日お母さんの誕生日だ」


柳純くんの話題ですっかり忘れてしまっていたけれど、今日はあたしのお母さんの誕生日。


ちょうど40歳になるから嫌がっていたことを思い出した。


「なにか買って帰るの?」


彩に聞かれてあたしは左右に首を振った。


プレゼントに悩んだときは料理をするに限る!


今日は食材を買い込んで、両親が帰るまでに豪華なご飯を用意しておく予定なのだ。


できれば、ケーキも。


お菓子系はあたしの得意分野ではないけれど、食べることは大好きだ。


今はスポンジとクリームとスルーツを買って、簡単に作れるケーキもある。


それを使えば時間も短縮できるし、失敗することもない。


「今日は早く帰ってご飯を作るの。じゃあね彩、バイバイ!」


あたしは元気よく彩に手を振り、足早に教室から出たのだった。