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そこからなっちゃんの家を特定するのは簡単だった。


電信柱には個別番号がつけられていて、それが鏡に映っていたのだ。


それを発見した俺はすぐにマップで場所を調べて、なっちゃんの家に来ることができていた。


「行ってきまぁす」


なっちゃんは玄関先で中にいるであろう、家族へ向けて声をかけて歩き出した。


その顔、制服は間違いなくインツタで見たなっちゃん本人だった。


俺は興奮して思わず鼻息が荒くなってしまった。


本物のなっちゃんが今目の前にいる。


手を伸ばせば届いてしまうかもしれない距離にいる。


同時に、愛ちゃんのことを思い出していた。


愛ちゃんの家を特定することも、俺にとってはとても簡単な作業だった。


いや、作業なんて呼び方が大げさなくらいだ。


すでに地元イベントなどで何度も愛ちゃんに声をかけて顔見知りになっていた俺は、勇気を出して声をかけた。


『愛ちゃんおはよう。いい天気だね』


と……。


だけど愛ちゃんは玄関先にいた俺を見た瞬間サッと青ざめたんだ。