琴葉がうなだれて涙を流し続けている。


「琴葉、話せるようなら何があったか話して?」


琴葉はコクコクとうなづくけれど、ただ静かに泣くばかりだ。


あたしは琴葉にハンカチを差し出した。


琴葉はそれを握り締めてあたしの顔を見た。


「晃くんのこと?」


「うん……」


確か、昨日もデートだったはずだ。


それがこんなに泣いているということは、うまくいかなかったのだろう。


わかっていても、口には出さなかった。


廊下からホームルームの開始を告げるチャイムが聞こえてくる。


「昨日晃とデートしてたら、知らない女の子が声をかけてきたの」


「うん」


「最初は晃の同級生だと思ってたんだけど、突然晃が焦りだして、その女の子は晃は自分の彼氏だって言うし、もうわけがわからなくなって」


あたしは琴葉の言葉を聞きながら拳を握り締めた。