ドライブスルー彼氏

「あたし、元々は普通に男の人が好きなんです。中学校の頃は彼氏もいました」


トオコちゃんの告白は意外なものだった。


元々女性に興味のある子だと思っていたからだ。


「でも、ある時教室で授業をしているとき、先輩たちが体育の授業を受けているのを見たんです」


「窓から見えたってこと?」


聞くと、トオコちゃんはうなづいた。


確かに、教室の窓からグラウンドが見える教室もある。


トオコちゃんは偶然その姿が見えたんだろう。


「先輩はそのときテニスをしていたんです」


「うん。それで?」


テニスは授業内容に組み込まれているので、別に珍しいことではない。


「その時になんだか引き込まれちゃったんです。里奈先輩がテニスをしている姿に」


思い出すようにして呟くトオコちゃん。


その頬はまたほんのりと色づいている。


「でも、テニスをしていたのはあたしだけじゃなかったでしょう? それに、あたしは上手でもなんでもないし」


むしろ運動は不得意なほうだった。