ドライブスルー彼氏

店名の通りすごくフルーツにこだわっているようで、値段もそこそこ高いと言う。


それでも毎日行列ができるくらいの人気店なのだ。


「あの、それじゃ今日一緒に食べに行きませんか?」


突然の誘いにあたしは驚いてトオコちゃんを見つめた。


トオコちゃんはほんのりと頬を赤く染めている。


「あ、でも、デートとかそういうんじゃなくて、その、友達としてというか」


しどろもどろになって説明するトオコちゃんに、思わず笑ってしまった。


「もちろんいいよ。でも、行列ができるくらいのお店だから、今から行っても売り切れてるんじゃないかなって思っただけ」


「それなら大丈夫です! 実は今日、ケーキを予約してるんです」


「え、そうなの?」


「はい! お母さんの誕生日で何種類か予約しておいたので、里奈先輩が食べたって大丈夫ですから」


「でも、それは申し訳ないよ。お母さんの誕生日なんでしょう?」


「大丈夫ですって! 3人家族なのに10個も注文しちゃったんですから」


そう言ってペロッと下を出すトオコちゃん。


どれも食べたくて沢山注文してしまったようだ。


そんなに沢山あるなら1個くらい大丈夫なのかな。


「わかった。じゃあお言葉に甘えようかな」


あたしの言葉にトオコちゃんは心底嬉しそうに微笑んだのだった。