ドライブスルー彼氏

☆☆☆

まだ彼氏はほしいと思うけれど、出会いはきっと決められたときにやってくるのだ。


無理矢理自分から奪い取りに行くものじゃない。


明久くんからのメールが来なくなって3日が経過していた。


SNSのアカウントも無事に削除されて、ようやく日常が戻ってきたと感じられる。


「琴葉は今日もデート?」


昼休憩時間に質問すると、琴葉は頬を赤らめてうなづいた。


「そっか……」


あたしは複雑な心境で呟く。


琴葉は偶然にもとてもいい人と出会うことができたみたいだ。


それを見ていてどうして自分はこううまくいかないのかと、ねたむ気持ちもわいてくる。


だけど、それを理由にしてまた失敗をしたくはなかった。


あたしはあたしのペースで好きになれる相手を探していこう。


そして放課後、校門を出たところで後ろから声をかけられた。


「トオコちゃん」


すっかり顔なじみになったトオコちゃんが駆け寄ってくる。