ドライブスルー彼氏

☆☆☆

そして、その日の夜12時頃。


少し怖い気持ちを抱えながらもあたしは再びドライブスルー彼氏にやってきていた。


相変わらず周囲には街頭もなくて寒々しさを感じる場所に、その小屋は建っていた。


救いだったのは、今日は満点の星空が出ていることだった。


この辺一体には高い建物がないから、見上げると本当に綺麗な星空を見ることができる。


山に隠れてしまっている部分もあるといえど、それは十分な迫力があった。


しばらく星空を見上げて気持ちを落ち着かせてから、あたしは小屋へと近づいた。


パネルの光は相変わらず場違いに輝いている。


その中に明久くんの姿を探したけれど、どこにも見当たらない。


あたしと出会うことに成功したからだ。


そう考えると少しだけ胸がチクリと痛んだ。


残念だけれど、明久くんと付き合うことはないだろうから、明久くんはいずれまたここに戻ってくるかもしれないんだ。


ほんの少しの罪悪感が生まれたが、あたしは左右に首を振ってそれを打ち消した。


1度のデートで恋人になれる確立のほうが、きっとずっと低いはずだ。


このドライブスルー彼氏というよくわからないものを利用していたら、特にだ。


だからなにも気にする必要はない。


カップルが成立しないことなんて、当たり前みたいにあるはずだから。