ドライブスルー彼氏

返事なんてするつもりはなかったけれど、気になってつい返信してしまった。


《里奈:どうして夜中なの?》


《琴葉:さすがに利用する方も、待ってる彼氏の方も恥ずかしいからじゃないかな?》


そう言われればそうかもしれない。


もし仮に、本当にドライブスルー彼氏なんてものがあるのなら、できるだけ人には知られずに利用したいだろう。


でもそうすると、琴葉は真夜中に晃くんとデートをしたことになるのだ。


あたしは首をかしげた。


やっぱりドライブスルー彼氏なんて嘘なんだろうか。


琴葉と晃くんは実はずっと前に出会っていて、デートを重ねていたととか?


そう考えるほうがずっと自然だった。


琴葉はきっとあたしに言い出す機会がなかっただけだ。


「ドライブスルー彼氏なんて行かないし」


あたしは呟いて、スマホをベッドの上に投げ出したのだった。