ドライブスルー彼氏

あたしは唖然として立ち尽くしてしまった。


琴葉に彼氏ができたことは本当だったんだ。


隠れることすら忘れて2人の姿を見つめていると、琴葉がこちらに気がついた。


咄嗟に逃げようかと思ったが、もう遅い。


あたしは笑顔で駆け寄ってきた琴葉に手を握られていた。


「里奈! 偶然だね、どうしたの?」


無邪気に質問しくる琴葉にあたしは慌てて「買い物を頼まれたの」と、嘘をついた。


そして琴葉の隣にいる男性へ視線を向ける。


背が高くて整った顔立ちをしている。


髪の毛はサラサラで、思わず触ってみたくなる。


カッコイイ男性がタイプの琴葉が選びそうな相手だった。


「あ、こっちは晃くん。友達の里奈」


紹介されて、あたしは顔だけでお辞儀をした。


つい、晃くんと呼ばれた彼の顔をマジマジと見つめてしまう。


晃くんはさわやかな笑顔を浮かべて「はじめまして」と言った。


その声は低く、思ったよりも大人びている。


「晃君は星丘高校なの」


「そ、そうなんだ」


星丘高校といえば隣町の高校で、偏差値が高いことで有名だった。