「ダイエットなんてする必要ないじゃん」


「でも、ちょっと食べただけで太るんだもん」


そう説明しても、琴葉は怪訝な表情を浮かべたままだ。


「ねぇ里奈。なにかあったんじゃないの? あたしには言えないようなこと?」


「本当になんでもないよ」


一瞬琴葉にすべてを話してしまおうかと思った。


靖くんの借金返済のために愛人契約を結んだこと。


その人と月に2度は関係を持っていること。


でも、そんなこと言えるはずがなかったし、これは自分が選んだ道だ。


弱音なんて吐くことはできない。


「もう、琴葉は心配性だなぁ」


あたしは無理矢理笑顔を作り、明るい声でそう言ったのだった。