検査したことがないから言い切れないし、恋愛アレルギーだなんて言ったらきっと笑われてしまうだろう。


それでも、本当にそうなのだから仕方がなかった。


誰に理解されなくても咲子だけは信じてくれていたし、それでいいと思っていた。


そのコンプレックスと呼べるものがなくなったのだ。


今のあたしは背中に羽が生えてどこまで飛んでいけそうな気分だった。


これで心おきなく船見くんとデートをすることができるんだ。


そう思ったときだった。


あたしの幸せな気分を害するように、後ろから誰かがぶつかっていた。


体のバランスを崩してこけそうになり、慌てて近くの机に手をついた。


間一髪で体を支えて振り向くと、そこには3人組の女子生徒が立っていた。


あたしのことを冷たい視線で見下ろしている。


「ごめん。全然見えなかったんだけど?」


わざとぶつかってきたに決まっているのに、そんな嫌味を投げかけてくる。


あたしは3人を睨みつけたが、3人はすぐに興味を失ったようでいつもの教室後方へと歩いて行ってしまった。