給食だけでは足りなかったようで、男子たちは大喜びでポッキーに手伸ばす。


「ありがとう。給食でおかわりできなくて、足りないって話をしてたところなんだ」


船見くんはそう言い、ポッキーを口に入れる。

そのしぐさが可愛く見えて、胸がキュンッと悲鳴をあげた。



ん?


これもアレルギーのひとつなのかな?


でもそれは嫌な感覚じゃなかった。


息を吸い込むことができなかった、あのときみたいな恐怖はない。


それどころかずっと感じていたいような気持ちだ。


「日下部さんっていつも頑張ってるよね」


「え?」


突然の言葉にあたしは驚いて船見くんを見つめる。


「委員会もさ、なんだなんだ言ってもみんなのために動き回ってるし」


「それは……決まったものは、仕方ないし」


そう言ってうつむく。


それに好きな本に関する仕事だから、別にみんなのためってわけじゃない。


でも、船見くんがあたしのことをちゃんと見てくれているのだとわかって、嬉しくなった。