心臓は早鐘を打っている。


次に何を言われるだろうと不安になり、背中に嫌な汗が流れていく。


「研司だって、学校遅刻だよ」


「俺は1時間目はサボリ。数学苦手なんだ」


研司はそう言うと当たり前のようにあたしの隣に座った。


咄嗟に少しだけ体をずらす。


研司と一緒にいるとあまりよくないことが起こる。


そんな直感が働いたから。


「今日は一人じゃん。やっぱり嫌われたのか?」


研司の楽しげな声を無視して、あたしは自分の胸に手を当てた。


さっきから心臓の早鐘が収まらない。


それところか、研司が横に座ってから呼吸が苦しくなってきた。


小学校6年生の頃の出来事がよみがえってくる。


研司と会話をしている最中に呼吸がくるしくなってきて、ついには倒れてしまったこと。


思い出すと不意に怖くなってきて、あたしはベンチから立ち上がった。


しかし足に力が入らずそのまま地面にヒザをついた。