「もしかしてこいつと付き合ってんの?」


研司があたしを指差す。


咄嗟に嫌な予感がして勢いよく立ち上がっていた。


船見くんと研司の間に立ちはだかる。


しかし、研司は言葉をとめなかった。


「こいつ、変だろ。付き合うのなんて無理なんだよ」


研司はそういって、大きな声で笑ったのだ。


背中に嫌な汗が流れていく。


今船見くんがどんな顔をしているのか、ふりむいて確認することが怖い。


研司はゲラゲラと笑い声を上げながら、公園から出て行ってしまった。


研司がいなくなると、途端にあたりは静かになった。


怖いくらいの静寂。


なにか言わなきゃいけないと思ってあたしは焦って口を開いた。


「ご、ごめんね船見くん。今の人小学校の同級生なの」


しかし、船見くんはなにも言わない。


息遣いだけが聞こえてくる。


あたしは振り向かずに話を続けた。


「あ、あの、あいつの言うとおりなの。あたし、ちょっと変で……それで人を好きになることとか、付き合うこととか、ちょっとできなくて。でも船見くんと一緒にいると大丈夫だなって思ったから、一緒にいたんだけど」