「思い出したって、何を?」


急に何を言い出すのかと思えば、その情報は私にとって、とても大きなものになったのを、今でも鮮明に覚えている。


「茉莉《まり》ってウチのいとこなんだけど、茉莉が碧人くんに幼稚園の頃に告白したらしいんだよ」


ここは「うんうん」と適当な相槌を打ったと思う。


「それでね。碧人くん、茉莉のこと振ったらしいんだけど、その理由がさ、


――――花のことが好きだから


なんだって」