カーテンの閉められた薄暗い部屋。 コンコン、とその奥の窓が叩かれる。 燐は腕に力を入れ、上体を起こした。そのまま這って、カーテンを開ける。 「よ」 黒猫がいた。 正確には、黒猫を抱く千治がいた。 ぽかんと燐はそれを見上げる。 「開けろよ」 鍵を示され、言われるがまま開けた。その間に黒猫は身を捩って地面に降りてどこかへ行ってしまった。 「あ……」 黒いあのふわふわとした毛を触ってみたかった燐は残念そうに眉尻を落とす。 対して千治は舞った黒い毛を手で払い、靴を脱いだ。 畳の上にあがる。