後ろによろけ、ぽす、と後頭部が千治の胸に埋まる。

燐の担任、コドーこと古銅(こどう)が千治へと視線を移した。

「お前、なんでここに」
「面白いもんを見に。じゃーな」
「あ、おい片桐は」
「こいつさっき飛んできた椅子にぶつかって、ほら、鼻血が。だから保健室行くとこ」

その言葉に、燐が鼻を押さえる。自分では気付いていなかった。

引きずられるようにして廊下を進み、曲がり階段を降りる。正直踏み外すかと冷や冷やしたが、ひとつ下の階でまた曲がった。

すぐ傍の教室に入った。空き教室で、誰もいない。

ガチャンと鍵のかかる音に、燐は手を鼻から離した。