さっと女子に教室の端で見ていた女子数人が駆け寄った。

英子(えいこ)、大丈夫?」
「これティッシュ……」

それを横目に燐は鞄を持ち直し、教室を出た。

千治に気付き、なんとも言えない顔をしたが、横を通り抜けた。
これまたモーセのように、道を作り。

生徒たちの騒ぎに漸く気付いた教師たちが数人廊下を歩いてくる。その中に燐の担任もいた。

燐の腫れた頬と切れた唇、止まった鼻血を見て立ち止まる。

「片桐、お前……」
「先生、あたし学校辞めま、」
「コドーチャンのクラスで揉めてたらしいけど、行かねえの?」

千治の声と共に、燐の鎖骨辺りを押し戻された。