普段、千治はあまり笑わない。
ただ面白いものを見つけると、こういう顔をする。

返事を待たずパンを食べ終え、歩き始めた千治を追った。







その一年の教室は湧き上がっていた。

「言いたいことも自分の口で言えないくせに、ごちゃごちゃうるせえんだよ」

女子同士の掴み合い。揉み合い。殴り合い。

白梅は学校内で喧嘩が起こることは一部であるが、本当に一部である。外でよく問題は起こすが、校内ではきっちりカーストが決まっているからだ。
そして、そのカーストを知らない者はそもそも喧嘩なんてしない。