基本、座学は寝ていることが多いが、千治は一年ダブっているので授業はギリギリ出ている。高陵は青い髪と派手なところもあるが、基本的に授業には真面目に出ていた。

最初に千治に臆せず話しかけた高陵と絡む事が多くなった。

「一年の教室だ」

次いで、怒鳴り声。女子同士の。

何事にも動じない高陵を千治は感心していた。しかし、椅子が落ちてくる一年の教室とは。

ひとつ、心当たりがあった。

「これ、返却してくる」

椅子を持って千治は上を指した。
高陵が目をぱちくり瞬かせる。

「来るか? 面白いもん見られるかもしんねえぞ」