燐は校内を歩いていた。 久々に来た場所でも廊下のタイルの色や教室の位置なんかは覚えているもので、静かに登校した。 教室へ向かったのは、置いていた荷物があるからだ。 それらを持って帰る為に。 昼休みで、教室内はざわついていた。燐が教室に入って気づかない生徒もいた。 「ねえ、あれ」 「あ、ほんとだ」 「来たんだーやば」 コソコソと女子たちが話し始め、それが伝染するように教室中の視線を集めた。 「片桐ー、妊娠したんだってー?」 机はまだ一応あった。ぽつんと傷ひとつつけられず、そこに。