ぐっと引き寄せられる。
近付き、瞳の色が読めるほど。

「確かに、女に嫌われそうな顔だ」
「し……失礼な」
「あ、そっか。なんつーか、黙ってると何考えてるか分かんねえ顔」

言い直したそれは的確で、とても客観的だった。燐の人からの嫌われ具合は、殆どそれが原因でもある。

人見知りをして黙っていることが多いので、何を考えているか分からない、から、見下しているんじゃないかに変わる。
劣等感は人の心に棲んでいるものだ。

そこから他人が離れていく。

燐はそれを自覚していた。が、そんなすぐに直せているのなら、こんな場所で油を売っているわけもなく。