夜中、藍は起き上がりリビングへ行く。レースカーテン越しにベランダが見える。そこに、黒猫と白猫が間を空けて眠っていた。

兄弟猫で、燐が可愛がっている。
本人は遠目から見ていることが多いが。

煙草を吸いたいが、窓を開けたら起きてしまうだろう。それをぼんやり考えて、立ったままでいた。

「眠れないの?」

後ろから声がかけられた。振り向くと円香が見上げている。

「目が冴えた」
「ふーん、煙草また吸ってるの?」

少し目を細めながら尋ねた。居心地悪そうに藍はそれをケースに戻す。

しかしまあ、中学の頃は円香の方がヘビースモーカーだったのだ。