いずれ愛する人が若い女性に目移りしていくとわかっていながらその状況をどうすることもできずに受け入れるなんて、ミレイナには耐えられない。

「相応しいか相応しくないかは、俺が判断する。その答え方は、俺の妻になるのが嫌なわけではないのだな?」

 ジェラールはミレイナの手を取ると、まっすぐにこちらを見つめる。

(どうしよう……)

 もっとしっかりと断らないければ。
 あなたのことは異性として見ていないと言わなければ。

 そう思うのにその言葉が出てこないのは、心の奥底では嬉しいと思ってしまっているからだ。

 妖艶に微笑んだジェラールの腕に力が入り、ミレイナはぐいっと引き寄せられる。

「ならば、全力で口説き落とすのみだ」

 そのまま慈しむように抱きしめられ、もう一度唇が重ねられた。