ミレイナは会場内をきょろきょろと見回す。 「お嬢さん、よろしければ──」 「あ、ごめんなさい。私、踊れないんです」 すぐに知らない男性が近付いてきたので、ミレイナは両手を胸の前で振ってそのお誘いをお断りする。 (ここにいるとダンスに誘われちゃうのね。よし、外に行こう) 会場からはテラスに出られる出入り口がいくつかあった。ミレイナはそのうちのひとつからそっと外に抜け出した。