「あ、その気持ち、すごくわかるわ」

 ミレイナにとっても、ダンスといえば収穫祭のときに即席の演奏に乗って皆で輪になって踊るものが馴染み深い。

「だろ?」

 アダムはふっと表情を和らげる。そして、視線を会場の中央へと向けた。

「クレア殿下のダンスが終わったから、僕は行くね」

 会場の中央を見ると、ちょうど曲が終わり向かい合う男女がお辞儀をし合っていた。

「うん、ありがとう」

 ミレイナは笑顔で手を振ると、アダムを見送った。

 休憩中なんて言いながら、本当はミレイナがしょんぼりしているのに気付いて声をかけてくれたのだろう。

(さてと。私はどうしようかな)