竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~

(私、だめだめだな……)

 あれだけ毎日のようにラルフがレッスンを組んでくれたのに、何ひとつ上手くできない。さっきから、周りにフォローされてばかりだ。
 ふと会場の中央に目を向けると、セシリアとジェラールが踊っている様子が目に入る。

(本当は、あんな風に私もジェラール陛下と踊りたかったな)

 気持ちが落ち込んできて俯いていると、視界に艶々の黒い靴が目に入る。

「お嬢さん、楽しんでる?」

(え? この声……)

 聞き覚えのある声にパッと顔を上げる。

「アダムさん!」

 そこには、アリスタ国の式典用騎士服をきっちりと着込んだアダムがいた。両手には飲み物が並々と入ったグラスを持っている。

「アダムさんも参加していたのね」
「まあ、参加というよりはクレア殿下の護衛だよ。今は、ちょっとだけ休憩中」

 アダムは会場中央へと視線を投げる。そちらに目を向けると、クレアが若い男性と共にダンスを踊っていた。