ミレイナは戸惑った。

(あ。もしかして、特訓の成果を確認したいってことかしら?)

 そうだとすれば頷ける。
 祝賀会のどこでお茶を披露する場面があるのかは不明だが、教えられたからにはどこかで披露する可能性があるのだろう。

 役目を横取りされる形になりどことなく不満げなマリベルからお湯を受け取ると、ミレイナは今日のレッスンを思い出しながら紅茶を淹れる。

 茶葉が踊るようにお湯を注ぎ、蓋をして蒸らして──。

「あれ? なんか、薄い……」

 ティーカップにお茶を注いだミレイナは、その液体を見て首を傾げる。満たされた紅茶からは芳醇な香りが漂うが、色が随分と薄かった。

「お湯の温度が低くすぎですわ。魔力を込めて加熱しないから」

 横でそれを眺めていたマリベルが、ため息交じりにそう言う。