アダムは休憩中だから大丈夫だと笑っていたけれど、魔獣と追いかけっこをして遊んでいたことを知られて彼が怒られたりしたら大変だと思ったのだ。

 会話が途切れたタイミングを見計らったかのように、ジェラール付きの侍女──マリベルが紅茶用のお湯を持って現れた。
 マリベルは慣れた手つきで紅茶を淹れる準備をする。

「待て」

 ジェラールがそれを見て、マリベルを止める。

「ミレイナ。お茶会の作法を習ったなら、お茶の淹れ方も習ったな?」
「お茶の淹れ方? はい」

 ミレイナはこくりと頷く。お茶会を主催した際のレッスンの一環で、美味しい紅茶の淹れ方も教えてもらった。

「では、ミレイナが淹れてくれ」
「私が?」