「えっ!」

 今さっきまで黒猫がいたはずの場所には、いつの間にか若い男性が立っていた。

 すらりと背が高く、少しくせのある髪の毛は先ほどの猫の毛並み同様に艶やかな黒色。
 こちらを見つめる瞳は金色をしており、白地の一部に水色の差し色が入った騎士服を着ている。
 そして、腰には長い剣がぶら下がっていいた。

 ミレイナは、ぽかんと口を開けて突然現れたその人を見つめた。

 今さっきまで間違いなく黒猫だったはずなのに、一瞬で人間に変わってしまった。

 この人はもしかして──。

「あなた獣人ね? 猫の!」

 ミレイナは興奮してその男性に詰め寄った。