そして、沢山の馬車の奥には人がいるのが馬車の合間から見える。豪華な貴族服やドレスを着た女性の後ろ姿、それに、従者らしき姿も見えた。
(もしかして、もう来賓のお客様がいらしているのかしら?)
リンダから、記念祝賀会に参加する来賓の方々が、早ければ今日到着し始めると聞いていた。きっと、この馬車は到着した来賓が乗っていらしたものに違いない。
[なんで今日は、こんなに沢山の馬車が停まっているの?]
エミーユが不思議そうに首を傾げる。
[きっと、明後日開催される国交正常化記念祝賀会の来賓の方々がいらしているのよ]
[国交正常化記念祝賀会って何?]
[お隣の国と仲良しになったから、よかったねって皆でお祝いするの]
[ふうん。じゃあ、あの人達は皆お友達ね?]
[そうね]
ミレイナがにこりと笑うと、エミーユは白い尻尾をぶんぶんと左右に振る。きっと、〝お友達〟と聞いて喜んでいるのだろう。
魔獣達のこの純粋さが、ミレイナは大好きだ。



