「ミレイナ、ありがとう」

 ジェラールは言葉を詰まらせながらも、もう一度ミレイナに感謝の言葉を贈る。
 ミレイナが産むならどんな子でも天使のように可愛らしいと確信していたが、これは想像以上だ。

「この子も、ミレイナも、俺が一生守る」
「はい」

 嬉しそうに頷いたミレイナにジェラールは優しく笑いかける。
 赤ん坊を抱いたままそっと体を屈め、触れるだけのキスを贈った。


 ◇ ◇ ◇


 皆の笑顔が溢れる幸せな部屋の片隅で、ラルフはその様子を見守っていた。

「これはまずいですね。王女様と一緒に、世界一の親バカも誕生したかもしれません」

 ラルフは、ぼそりと呟く。