「小さいな……」

 最後に生まれたての赤ん坊を見たのは妹のセシリアが生まれたときなので、二十年前以上前だ。ミレイナの胸に抱かれた赤子は、ジェラールの記憶の中の赤ん坊よりずっと小さかった。

「陛下と同じ、銀髪ですね」

 ミレイナが腕に抱いた子どもを慈しむように見つめる。

「ああ、そうだな」

 生まれたての子どもの髪は、ジェラールと同じ青みかかった銀髪だった。

「陛下も抱いてみますか?」

 ミレイナにそう尋ねられ、ジェラールは戸惑ったもののおずおずとその赤ん坊を受け取る。
 薄らと開いた目元から見える瞳も自分と同じ青だ。

「ジェラール陛下似でしょうか」

 近くからジェラール達を見守る助産師が、にこにこしながらそう言った。ジェラールもその赤ん坊を見て、自分に似ているなと感じた。
 自分に似た子どもが生まれてきてくれて嬉しい反面、愛らしいミレイナに似てほしかったと思わなくもない。