「おひとりですか?」
「はい。行き慣れておりますから」
「そうですか。お気を付けて」
「ありがとうございます」

 ブレンダン侯爵が口元に笑みを浮かべたので、ミレイナは会釈を返してまた歩き出す。

[今日はどこに行くの?]
[昨日は魔獣の森の西側に行ったから、今日は東側のまだ行っていないところにしましょうね]
[うん!]

 一角獣の魔獣──この子にはサシーと名前を付けた──が嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。
 途中、皆で追いかけっこをしたりしながらミレイナ達は森の奥へと進む。

[あ、僕ここ知っているよ!]

 途中で一匹の子フェンリルがそう叫ぶ。そして、勢いよく走り出した。

(あ、家族を見つけたのかしら?)

 ミレイナも走って追いかける。

 家族の再会はいつも感動的だ。我が子が戻ってきたことに大喜びする魔獣達に礼を言われながら、ミレイナはまた散歩の続きをする。