「都合のいい話だっていうのはわかっています。でも、一番のショックだったのは陛下の側に立つことが二度とできないんだってことでした。陛下とお喋りしたりすることも、これまでみたいにお茶をすることもできないんだってことで……。私は──」

 ──ジェラール陛下のことが、好きなんです。

 ずっと言えなかった一言が、ようやく言えた。

 どんな反応を示されるのかと恐る恐るジェラールを見ようとしたそのとき、力強く抱きしめられる。そのままの勢いで押し倒され、柔らかい物で口を塞がる。

 与えられた口づけは蕩けるように優しく、それはまるでジェラールの愛の深さを示しているようだった。
 ようやく唇を開放されたとき、ジェラールは熱を孕んだ視線でミレイナを見つめていた。

「先ほどの言葉にうそ偽りはないか?」
「ありません。私は、陛下のことを愛しています。本当は、ずっと昔から好きでした」
「っつ!」

 ジェラールは言葉を詰まらせると、片手で口元を覆う。

「俺の妻になる覚悟ができたということか」
「はい。叶うことなら、あなたの側にずっといたいです」

 ミレイナは了承の意思を込めて、しっかりと頷く。