その瞳を見ていたら、泣きたくなった。

(私、なんでジェラール陛下から逃げていたんだろう)

 ジェラールが自分のことを大切にしてくれていること、そして、愛してくれていることは知っていた。
 それなのに、ミレイナはジェラールの隣に立つのが怖くて逃げ出したのだ。

(きっと、バチが当たったんだわ)

 こんな体では、竜王妃になることは二度と叶わないだろう。それなのに、ジェラールは未だにミレイナに「愛している」と囁き、大切にしてくれる。

 せめて、一度だけでも「私もジェラール陛下のことを愛しています」ときちんと伝えればよかった。会話すらできなくなり、後悔ばかりが押し寄せる。

 ジェラールはミレイナの小さな体を抱き寄せると、トントンと寝かしつけるように背中を優しく叩く。
 今はその愛情に縋っていたくなり、ミレイナはそっと目を閉じた。