「わあ。今日もこんなに沢山!」

 クッキー、ロールケーキ、マドレーヌ、それに、パウンドケーキが二種類もあった。
 それにこの匂いは──。

「今日もラングール人参を使ったお菓子を用意してくださったのですか?」
「ミレイナがこれを気に入っているようだったから、また用意させた」

 ジェラールはにこりと笑う。

 ラングール人参は、ミレイナの大好物だ。
 生で食べるのも好きだけれど、料理に混ぜ込むのも大好きだ。そして、このラングール人参を練り込んだ特製キャロットパウンドケーキはミレイナの大のお気に入りのひとつだった。

「ありがとうございます」
「いや、構わない。ミレイナの喜ぶ顔が見られるならば、容易いことだ」

 ジェラールはミレイナを見つめ、蕩けるような笑みを浮かべる。

「え?」

 ミレイナは、頬が赤らむのを感じた。