(あれ、ほっぺ?)

 拍子抜けしてぱちっと目を開けるとジェラールと目が合う。

「唇にすると行かせたくなくなる。それとも、そちらのほうがいいか?」

 ミレイナの心を見透かしたかのようなからかいを帯びた口調に、かあっと気恥ずかしさが込み上げる。

「いえ、頬がいいです!」
「そうか。頬がいいのか」

 楽しげなジェラールは、今度はミレイナの反対側の頬にもキスをしたのだった。