ミレイナが訪問したとき、ジェラールはちょうど何かの書類を確認しているところだった。

「ミレイナ。今から行くのか?」
「はい。陛下からいただいたワンピースを着てみたのですが、いかがでしょうか?」

 ミレイナはジェラールの元まで歩み寄ると、ちょこんとワンピースのスカートを摘まむ。
 ジェラールは執務机に書類を置くと、ミレイナを見つめて目を細めた。

「まいったな。見るのではなかった」
「え?」

 ミレイナは狼狽えた。

(似合わないってこと!?)

 自分では結構いい感じだと思っていただけに、ショックが大きい。
 じわりと目に涙が浮かびそうになったミレイナの腕を掴むと、ジェラールは力強く引いた。
 バランスを崩したミレイナがジェラールの上に倒れ込む。ミレイナは、意図せずジェラールの膝の上に座るような格好になった。

「可愛らしすぎて、俺の腕の中にずっと囲っておきたい程だ。誰の目にも晒したくない」

 至近距離で熱を孕んだ瞳で見つめられ、甘い口調で囁かれる。瞬時にかーっと体が熱くなるのを感じた。

「あの……」
「しかし、そうも言っていられないな。残念だ」

 ジェラールはふっと笑うと、ミレイナのことを名残惜しげに抱き寄せ、額にキスをする。