ミレイナはご機嫌に前を歩く三匹のフェンリルと一匹のラタトスクを眺める。
 三匹のフェンリル達が仲良く並び歩く姿がとっても可愛らしい。ラトはちゃっかりと、イレーコの背中に乗って楽をしていた。

「実は、私がこの子達をお散歩に連れて行くのは一週間ぶりなんです」
「そうなのか?」
「はい。最近は陛下の側近の方と従獣の訓練をする時間が増えたので。この子達が一人前になるのは嬉しいのですが、こういう時間が減るのは少し寂しいです」

最近、魔獣達は従獣としての訓練を受けているので、ミレイナやリンダが散歩に連れて行く機会がガクンと減った。ジェラールが新たに怪我をした魔獣を保護してくることもあるのだが、皆怪我が癒えたら魔獣の森に戻しているので新たな魔獣も増えていない。

「そのうち、お散歩の時間もなくなっちゃうのかな」

 ミレイナはしんみりと呟く。

「では、そのときは俺と一緒にゴーランを散歩に連れて行こう」
「え?」
「この時間が減るのが寂しいのだろう? なら、俺と行こう」
「ふふっ、そうですね」

 ジェラールの思わぬ心遣いに、心がほっこりとする。

 ゴーランは成獣で勝手に散歩に行くのでミレイナやジェラールが連れて行く必要はない。ゴーランには[俺に散歩は必要ないぞ?]と呆れられてしまいそうだけれど、ふたりと一匹で散歩するのも楽しそうだ。