肝心な物を忘れていた。ミレイナは持ってきた袋を漁ると、中から黄色いリボンを取りだした。

[これ、付けてあげるわ]

 ミレイナはエミーユに見せるように、そのリボンを差し出す。

[わあ、可愛い!]

 エミーユが付けている金チェーンの首飾りに、留め具を付けてやった。首飾りに付いた竜の刻印のメダルのちょうど上辺りにリボンが揺れている。
 エミーユはそれを見せるように顎を上げた。

[似合っている?]
[似合っているわよ。すごく可愛い!]
[本当?]

 エミーユは引きちぎれんばかりに尻尾を左右に振る。

(よっぽど嬉しいのね)

 大喜びする姿に、こちらまで嬉しくなる。