「毎日一緒に行きたい」
「そ、れは……ちょっと。緊張するから」
「んー……じゃあ、付き合えた時の楽しみに取っておこ」
壁際に立つ私の横に立つ水瀬くん。その距離はわざとなのか、お互いの腕がくっ付いてしまうくらい近い。男子の腕って、女子と違って固くてがっしりしてるんだと、触れている少しの部分で分かってしまう。なんだかそれが恥ずかしい。
雑念を消そうと必死になっていると、聞き覚えのある明るい声がした。
「おはよう奏多!……それと、片山さんだよね?」
「愛理」
「おはようございます」
小走りで駆け寄ってきた愛理先輩は、水瀬くんの隣にいる私を見て一瞬目を見開き、すぐに笑顔になる。そして控えめに口を開いた。



