「待って、なにそれ」
「言った通り」
「なんで先輩にそんなこと言われなきゃいけないの?恋愛なんて、本人達次第でしょ」
「……そう、なんだけどね」
夏休みも終盤に差し掛かった。
炎天下の中涼しい場所を求め、学校近くのファミレスに集合した私と有菜ちゃんは、ドリンクバーを頼み、最初は夏休みにあった楽しいことを話していたはずなのに、奏多くんの話になった途端とても暗い雰囲気になってしまった。
というより、有菜ちゃんはキレている。ミルクティーを勢いよく飲み干し、私をズバッと指さした。
「凛子も水瀬くんも両思いなんでしょ?というより、水瀬くんが頑張って凛子を振り向かせた」
「……うん」
「どんなに弱ってようと、どんなに相手を好きだろうと、他人の恋に水を差すって一番の罪だと思うんだけど」
「…………」
「凛子が、凛子の意思で選びなよ」
────陸くんも有菜ちゃんも、私の意思を優先してくれる。
私の意思で決めなきゃならないのは分かってる。けど、愛理先輩のあんなに悲しそうな姿を見てしまったら、どうしても踏みとどまってしまいそうになる。
きっと、有菜ちゃんならそんな言葉吹き飛ばして進んでいくんだろうな。