求は汐音に返信したあとで、 「お前、なんで汐音に『汐音さん』なんだ?」 と訊いてみた。 汐音は年下のようだし。 いつもの武志なら、すぐに馴れ馴れしく、汐音ちゃん、とか呼ぶはずなのだが……。 え? と言う武志は、ぎくりとしたような顔を見せたが、すぐに、 「いや、汐音ちゃんでもいいんだけどさ。 なんとなく……。 ああ、えっと。 そう、お前の彼女になるかもなーと思ったんで、ちょっと距離をとろうかと」 と言ってくる。 嬉しくなった求は、わずかに抱いた違和感もまた、忘れてしまった。