狙われてますっ！

「とても綺麗な先輩なんですが、日坂さんの噂を聞いて、好感を持たれたみたいで。
　ちょっとお話してみたいと」

　どんな噂を何処から聞いたんだ？
と思いはしたが、汐音が武志に気があるのでないのなら、どうでもよかった。

　実際のところ、輝美が聞いた日坂の噂話というのは、
『おとなしそうなイケメン』
という非常に断片的な上に間違っているものだったのだが……。

「おい、武志。
　汐音が職場の美人の先輩に、お前の連絡先を教えてもいいかって言ってる。

　何処かでお前のことを見るか聞くかしたらしくて、ちょっと話してみたいと言ってるらしい」

　そう求は機嫌よく言ったが、武志の機嫌のよさの方が上回った。

「えっ？
　汐音さんの職場の先輩っ？

　それって……っ」
と喜びかけて、武志は言葉を呑む。

　なんだ？　と一瞬、思ったが、武志の、
「教えて教えて。
　何人にでも教えてって言っといてーっ」
と言う軽い発言に呑まれて忘れてしまった。