「そ、そうですね。
 ……そのうち、毎日一緒に居られるようになりますよね」

 だが、そう言いつつも、汐音は後悔していた。

 こんなに早く結婚すると決めてしまったことを。

「結婚……、早すぎましたかね?」

 抱き寄せられ、求の胸に耳を押し当てる形になっていた汐音は、求の心臓の音を聴きながら、そう呟いた。

「なんだ。
 まだ結婚したくなかったのか?」
と言う求の声は強張っている。

 汐音は慌てて顔を上げ、言った。

「い、いえっ、そうではなくてですねっ。
 加倉井さんといると、まだ、めちゃめちゃ緊張するんですよ。

 なのに結婚するとかっ。
 これから、四六時中一緒にいるわけですよねっ?」

 ご飯食べるときも、寝るときも。
 目が覚めたときも、加倉井さんが側にいるとかっ。

 考えただけで、卒倒しそうになる。