狙われてますっ！

「……何故、私が警察の人間だと？」

　ふふ、と彼女、歌川樹里亜(うたがわ　じゅりあ)は妖(あや)しく笑う。

　汐音はこの父母の前の彼女にして、あの会社の元派遣社員、歌川樹里亜を早い段階から疑っていた。

　輝美たちに父母を紹介されたとき、彼女らは父母のことを派遣社員キラーだと言っていたが、あのときすでに、父母の表情は微妙だった。

　その彼女とは早々に別れていたのではないかと疑っていたのだが、やはりそうだったようだ。

　父母の話によると、彼女の方からグイグイやって来て、グイグイ去っていったらしい。

　父母から必要な情報だけ抜いて、用なしになったからとポイ捨てしたのではないだろうか。

　あんまり上手いやり方とは言えないな、と汐音は思っていた。

　プロなら、もうちょっと長く付き合い、自然に別れるはずだ。
　小金で雇われた素人なのだろう。

　だが、自分を警察の人間だと知っているとは――。

　雇われている組織から聞いていたのか。
　意外に切れ物なのか。

　そう思い、汐音が身構えたとき、樹里亜は言った。